安寿の小径

北千住のスピリチュアルな占い師 安寿のブログ http://anju.cho88.com/

枯れ木のごとく朽ちるには?

8月に2人の友人が亡くなってから、私も自分の終末についていろいろ考えています。


スピリチュアリズムを学んでいるおかげで、死ぬことは少しも恐いと思いません。
むしろ、今年のように猛暑日が続いて体調がよくないと、「あぁ、あの世はいいな。物質的な肉体が無いから暑いも寒いも、痛いも痒いも感じないもんね。」などと、あの世に憧れてしまい、守護霊様たちから叱咤激励されています。


全て神様が良きに計らってくださるとお任せしているつもりでも、弱虫の私は、できれば死ぬ時の肉体的な苦痛を、できるだけ軽くして頂きたいなどと、都合のいいことを考えているのです。


『死にざまは生きざま』と言われますように、なるべく楽に死ぬためには、執着を捨て、生きている間に、少しでもカルマのお返しを心がけるしかありません。


苦痛の少ない死に方とは、一体どんな死に方なのかを考えている時に出会ったのが、老人ホームのお年寄りをたくさん看取ってきた中村仁一先生のご著書でした。


中村仁一著 『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎)です。


中村先生は、老人ホームの医療の現場で、自然死で亡くなる老人の穏やかな死を看取ってきて、過剰な医療が老人の自然死を邪魔しているとおっしゃっています。


食べられなくなれば胃に穴をあけてまで栄養を送り込み、呼吸ができなくなれば、のどに穴をあけ、管を差し込んで無理に酸素を送り込む。
しかしどんなに手を尽くしても、それでも寿命は尽きるのです。


若くて元気な肉体なら、手を尽くすべきかもしれませんが、全身弱ってきている肉体に、延命医療は、どうなのでしょうか。


中村先生は、人は餓死するのが一番楽だとおっしゃっています。
人の体は死期が近づくとまず食欲が無くなり、水分もとらなくなり、意識がもうろうとして来て、脳内モルヒネが出て、苦痛を感じないまま穏やかに亡くなることができるのだそうです。


私も最後は枯れ木が朽ちるように死にたいと思っていますが、救急車で病院に運ばれたりすると、なかなかそうもいかないようです。


家族に「延命治療はしないでね。」と言っておいても、延命治療に対する考えが人それぞれですし、どこまでなのかを具体的に書いておかないと、家族も判断が難しいとのことです。


「今、この治療をしないと数時間で亡くなります。」などと言われたら、誰だって動揺しますからね。死ぬと言われているのに、それでもやめてくださいとは、なかなか言えるものではないでしょう。


だから、延命治療を望まない人は、終末期の医療及びケアについての意思表示を書面で残す際、「延命治療は一切お断り」と書くのではなく、具体的に
心肺蘇生、気管切開、人工呼吸器、強制人工栄養、水分補給(以下省略、詳しくは中村先生のご著書参照の事)を拒否すると書いた方がいいそうです。


「水分補給も?」なんて思われる方、油断してはいけないのです。聞くだにに恐ろしげな、抹消静脈輸液、大量の皮下注射の事だそうです。


とにかく死体になってからよりも、死体になるまでが大事。
良い死に方をするためのポイントは具体的に指示する事だそうです。


「年を取ればどこか具合の悪いのが正常」それなのに「『老い』を『病い』にすり替えて老化にもっともらしい病名を付けて、治ると期待させる」


「年を取っても『健康じゃなきゃ』と健やかに老いましょうという強迫」
「若さに対するこだわり」
「体がついて行けないのにもかかわらず、気持ちはいつまでも若く、無理に気持ちに身体を合わせようとするので不都合が生じる」


本当にその通り!反省!


医者は治せると思っているが、「生活習慣病は治らない、直せない、予防できない、すぐには死なない。治そうと思わず、上手に付き合え。」
これなんか、思わず、そうだ、そうだと嬉しくて拍手したくなりましたよ。
分かっちゃいるけどやめられないんですよねぇ、いろいろ。


もう一つ、嬉しくなっちゃった本が、今話題の、慶應義塾大学医学部放射線科医師 近藤誠先生の『医者に殺されない47の心得』(アスコム)です。


近藤先生は『患者よがんと闘うな』で有名なお医者様です。


近藤先生も「安らかに逝くとは『自然に死ねる』ということ」とおっしゃっています。


がんでも手術したり、抗がん剤放射線で治療したりせずに、放置すれば、痛みもなく、安らかに逝けるそうです。
特に、胃がん、肝臓がん、食道がん、子宮がんは痛みが無く、痛みが有っても、緩和ケアーで100パーセントコントロールできるそうです。


今まで恐ろしいと思っていたがんが、お陰様で怖くなくなってしまいました。


がんの手術に関しては、若い人の場合など、いろいろ考えることもあると思います。
しかし私が今がんだと分かったら、間違いなく手術はしません。
必要最低限の緩和的医療を利用し、上手に病と付き合って、残りの人生を楽しみながら天寿を全うしようと思います。


みんなピンピンコロリを願っていますが、現実はなかなかそうもいかず、心臓病でさえも、何回か発作を繰り返し、だんだん悪くなっていくのだそうですし、脳幹に大出血でもしない限りコロリとはならないそうで、よくある大脳半球内出血では、とてもとてもという感じです。


介護を受けずに自立して健康に生活できる平均年齢(健康寿命)が女性は約73歳、男性が約70歳(近藤先生のご著書より引用2010年厚労省)だそうで、
「日本人はお迎えが来る前に平均10年前後も『健康ではなく、介護なしでは暮らせない』毎日を過ごしている。」そうです。


そこで中村仁一先生のお言葉。
「老いには寄りそって拘らず、病には連れ添って囚われず、健康に振り回されず、死には妙に抗わず、医療は限定利用を心がけることが大切。
老いる姿、死にゆく姿をあるがまま、後継者に見せる、伝える事」


このお二人のご著書には、ここには書ききれなかった、日本の医療についての問題提起もたくさんあって、とても参考になりました。


やたら健康診断や検査はするな、医者にはなるたけいくな、薬もできるだけのむな。
医療費を削減したい政府にとっても、年金減らされ、医療費値上げで苦しんでいる老人にも、これって、いいんじゃない?



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