アメリカ大統領選に関するニュースを見るたびに、どう好意的に解釈しても、民主主義国家アメリカで、まるで独裁者みたいに見えるトランプ氏が、どうしてあそこまで人気があるのかずっと疑問でした。
そんな折、9月17日東京新聞の夕刊に興味深い記事が載っていて、私の疑問がやっと解けました。
(以下、「」内は同紙の記事から)
『レコンキスタ(失地回復)の時代』。ウクライナ侵攻に至る歴史の逆流を海外の識者と読み解く。 ⅭⅠA元工作担当官グレン・カール氏に聞く
カール氏によると、トランプ氏は米国の「真実」を反映していて「彼は突然変異ではなく、アメリカという国の土壌から生まれてきた」というのです。
「最高の(世論)工作は真実の上に築かれる」のだそうで、トランプ氏はその真実を体現しているのだとか。
「米国の真相に潜む「真実」とは何か。第一に白人優位の人種差別意識、第二に内にこもる孤立主義、第三に(平等社会の反作用として頭をもたげてくる)権威主義への衝動だ」
米人口に占める白人の割合は減り続け「人種的少数派に転落すると予測されている」
「だが、権力の上座に座る者が自ら進んでそれを手放すだろうか。私の答えは「ノー」だ。トランプ氏は米社会の変化に憤り、(既得権にしがみつく)白人の差別意識に支えられている。」
内向きの「自国第一」主義も米国人のDNAに刻まれている。
「(「米国第一」や「米国を再び偉大に」(MAGA)」を掲げる)トランプ氏はそんな内向き志向を共有している。根っからの孤立主義なのだ。だから大衆の信条と響き合う」
「トランプ氏は、そうした(「強い父性」への)欲求に立脚する。再び浮上してきたのは米国の歴史や文化に根差した「真実」を反映しているからだ」
なるほど、納得です。やっとトランプ人気の謎が解けました。
「(元工作員から見ると)こうした状況は全く好ましくない。なぜなら(米国と対立する)ロシアや中国の情報機関に付け入る隙を与え、容易に情報工作を仕掛けられてしまうからだ」
「外国勢力に隙を与えないためには、国民をつなぐ「神話」を持たなければならない。国の理念や進むべき方向について、皆が一つにまとまる事の出来る共通の「物語」が必要なのだ。」
「残念ながら、「米国の物語」は壊れてしまった。(社会の奥底に閉じ込めていた「真実」が解き放たれ)建国から250年近くかけて、ようやく実現にこぎつけた(自由と平等)の理念は大きく損なわれた」
「(対立国)の情報機関はそんな裂け目を見て取るや、民衆の不安をあおり、不和を増長し、さらに社会を侵食しようと仕掛けてくる。『トランプ(登場)後』の米国は工作の沃土と化した」
トランプ氏の登場は、国際社会においても、アメリカにとっても喜ばしいものではないのですね。
もちろん日本だって大変ですよ。今よりもっと不平等を押し付けられる可能性大ですから。
世界の大国の指導者の顔ぶれを見ると、この先不安しかありません。
9月半ばだというのに、空は真夏のカンカン照りですが、世界中に暗雲が立ち込めているような気がします。
戦後の復興期には国民が心を一つにする「日本を文化的にも経済的にもよくしたい」と言う思いが国民の中にあって、その思いで頑張ってきたわけですが、ある程度それが実現した今、日本人を一つにする思いって何でしょうか?
私は、こんな不穏な世界情勢の中で、一番必要なのは、平和憲法を守り、どこの国とも戦争をしないことが第一で、国民の暮らしの安全安心への取り組だと思うのです。
断じて軍備の増強ではなく、それはむしろ国民を戦争へ引きずり込むリスクでしかありません。
国民の不安は毎年多発する自然災害です。
大地震の時、最も危険な原発を廃止して、各県或いは各地方に自然エネルギーを利用した発電施設を造り、各自治体が管理運営し、雇用を生み出し、自然災害が起きた時には、近隣自治体がすぐサポートできる体制をつくること。
農業や漁業、畜産など、日本の食料自給率を上げ、輸入品に頼らない食の安定供給を確保する事。
若者たちに、平和で暮らしよい日本を残してあげたい。それが私の唯一の望みなのです。
こんな私を喜ばせる本が東京新聞に紹介されていました。
市民エネルギーと地域主権
新潟「おらって」10年の挑戦
佐々木寛著 大槻書店 1980円
(以下東京新聞 国策に風穴「私たちの手に」高橋真樹氏の書評より)
「福島第1原発事故をきっかけに、(新潟県で)市民によるエネルギー自治の取り組みが始まった。
「一般社団法人おらってにいがた市民エネルギー協議会」を設立。10年で県内に合計で約40カ所の低圧太陽光発電所を設置し、現在は小水力発電所も計画中だ。
―中略―
欧州では20世紀後半から、市民エネルギー事業への参加を通じて、地域の主体性を取り戻す動きが盛んになった。それを「エネルギー・デモクラシー」と呼ぶ。エネルギー事業に関わる事は、単にどれだけ発電できるかという話ではない。中央集権的で市民にはブラックボックスとなっていたエネルギー事業に風穴を開け、地域の主権を自らつかみ取る手段である。
日本では福島の事故を受けて、「ご当地エネルギー」と呼ばれる「おらって」のような組織が全国で続々と設立された。」
そうだったのですね。この嬉しい市民活動について、寡聞な私は10年間も知りませんでした。私のようなものでも気付くように、マスコミでもっとこの事を報道してほしかったです。
マスコミがあまり力を入れなかったのは、大手電力会社に忖度したのでしょうか?
日本にもしっかり「エネルギー・デモクラシー」が始まっていたのですね。
悪いニュースばかりで暗くなっていた心の中に、微かですが希望の光が見えてきました。
日本人が心を一つにして、もっと、いろんなデモクラシーが日本各地に沸き起こりますように!
北千住のスピリチュアルな占い師 安 寿