昨日(10月13日)飯田橋のギンレイホールでイギリス映画『スラムドッグ$ミリオネア』という映画を見てきた。
インドのスラム出身の青年が、子供のころ別れた幼馴染の少女を捜し求めていく中で、どこにいるか分からない、その少女に見てもらいたくて出たクイズ番組で、賞金を手にするという、まあ、ある意味大人のファンタジー。
年のせいか、スラムとか戦争とか、病気で誰かが死ぬとか、そういう痛ましい映画はあまり見たくないので、期待していなかったのだが、これがなかなかいい映画だった。
さすがイギリス映画、ディテールがよく描かれていてリアリティも感じさせたし、迫力のある筋運び、ハラハラドキドキそしてホロリ、ジーン、最後は感動!と、十分楽しめた。
心配したスラムの子供たちの、なんと逞しく活き活きしていたこと。明日を思い煩わず、今を精一杯生きる子供たちの命の輝きに心打たれた。
大人になるといろいろな失敗や苦い経験から、よけいな心配をしずぎて、魂の波長を下げ、不幸を呼び寄せてしまう。
私も老い先短くなってきたのだから、欲を捨て、不安を捨てて、もう神様にお任せして、明日を思い煩うことなく、今を精一杯生きなければと改めて感じた。
主人公の少年がどんな障害にも負けず、少女を捜し求める一途さは、『映画だからね』なんて思っても、やっぱり感動しちゃう。
『スラム出身のお茶汲み』とサンザン司会者に馬鹿にされた少年が勝利した瞬間、インド中の庶民たちが我が事のように歓喜したシーンで、私もインドの一庶民になって「やった!」と心の中で叫んでいた。題名から判断して、そうなることは分かっていたのに、まんまと乗せられてしまった。
過酷な少年時代を経て、ヤクザになった兄と幸せを手にした弟。性格の違いからそうなったと言えばそうかもしれないが、あのような状況の中で、兄はそうなるしか無かったのではないかと思う。
普通の環境にいれば、兄はヤクザになどならないで、現実的に上手く立ち回って、会社の中で出世したかもしれないキャラだ。無欲な弟は逆に、頑固で融通の利かない夢追い人になって、現実的には苦戦したかもしれない。
あの兄が悪い役回りを引き受けてくれたおかげで、弟は思いを遂げられたのだろうなどなど、見終わった後もいろいろ考えさせられて、思いが膨らんでしまう。
見てよかったと思う映画の一つになった。
北千住の母 安 寿