安寿の小径

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映画『ジェイン・オースティン』を見て

先日会員制のシネマクラブ『ギンレイ』で『ジェイン・オースティン』を見てきた。
ジェイン・オースティンといえば、18世紀から19世紀初頭にかけての女性の小説家で、代表作には『エマ』高慢と偏見』などがある。


かの夏目漱石が絶賛したといわれる小説家で、私も乙女のころ、胸を躍らせて読んだものだ。しかし、その人生については、生涯独身だったということしか知らなかったので、今回の映画には期待していた。


18世紀から19世紀のイギリス。中流階級とはいっても実際はかなり貧しい人々の生活。
ジェインの生家も中流で、父は教養人だが、子沢山の貧しい牧師だった。
ジェインはその家の7人兄弟の次女として生まれ、当時の女性としては珍しく高い教育を身に付けた。


当時女性は結婚して夫に養ってもらう以外、生きるすべが無い。結婚しなければ親か兄弟に死ぬまで養ってもらうしかない。
女性はいやでも受身に生きることを強いられ、男性でも、親にお金が無ければ、伯父や叔母などお金のある親戚に養われたり、とにかくお金や権力が無ければ自由は無いに等しい時代だった。


だからジェインの母親も娘を裕福な男性の元へ嫁がせようと躍起になっていたが、ジェインは愛の無い結婚よりも小説家になることを夢見ていた。
女性が小説を書くなんてご法度の時代だったのだが、ジェインは諦めなかった。


そんな時、ジェーンは、ロンドンで法律を学ぶ、貧しいが才能にあふれたトムと出会い、互いに激しく惹かれあう。二人は、トムを経済的にバックアップしているトムの伯父に、結婚の許可を求めるが反対されてしまう。


生活を全面的に援助してもらっている伯父には逆らえず、一度は結婚を諦めるが、やはり思い切れず、自分たちの思いを遂げようと二人はそれぞれの家族を捨てる決心をする。

しかし、駆け落ちの途中で、ジェインはトムが伯父の意に逆らえなかった本当の理由を知ることになる。
トムの伯父は、彼だけでなく、彼の家族全員の生活を援助していて、彼が伯父の期待を裏切れば、家族全員の生活が危うくなるのであった。


それを知ったジェインは、トムの家族の窮状を思い、またそのことで苦しんでいるトムの心情を察し、別れを決意する。
相手の家族とトムの真の幸せを願い、ジェーンは燃え盛る愛の炎を必死で押さえ込むのだ。


愛の炎に身を任せれば、確かに自分たちの思いは遂げられ、一時的にせよ、至福の時を過ごせただろうに。
しかしその先は、誰にも分からない。


生活苦からお互いの才能を摩滅させ、そういう意味では不本意な一生を送ることになったかもしれない。


しかしそれでも家族を得て、ジェインの両親のように、貧しいながらも愛情に満ちた一生を終えたかもしれない。


事実は分からないが、この映画によれば、引き裂かれる苦しみを乗り越え、理性的な愛を選んだ二人は、二人とも天賦の才能を十分に発揮した生涯を終えることが出来たようだ。


家柄もよく、金持ちの男性の求婚を断ったジェーンに父親が言った言葉
『貧しさは、人の心を砕くんだよ』


『貧しきものは幸いなれ』という聖書の言葉を伝える牧師である父親が言ったこの言葉はは重い。


しかし、スピリチュアル的に見れば、二人は、貧しいがゆえにこんな試練に出会い、家族のために自分たちの愛をすて、それでも運命を呪わず、試練を乗り越えて、大きな愛に目覚めていったのだ。


貧しさを恨むなら貧しさに心を砕かれてし舞うだろう。そして自ら不幸の坩堝(るつぼ)に陥ってしまう。
だが、貧しさを受け止めて精一杯それに立ち向かっていけば、無限の可能性が開けるのだ。少なくとも人間的には大きく成長でき、自分の人生を嘆くことはない。


そういった意味では人生に貧しさは必要。
この長引く不況は、スピリチュアル的に見れば、魂を磨き、人間的に大きく成長するチャンスの時なのだ。
みんな、頑張ろう!


てな訳で、いい映画だった。
19日まで飯田橋の『ギンレイ』で上映中。
20日からはまたこれ楽しみ『空気人形』『サイドウェイズ』です。

映画って、ほんとにいいですね。

               北千住の怪しいスピリチュアル占い師 安 寿