安寿の小径

北千住のスピリチュアルな占い師 安寿のブログ http://anju.cho88.com/

残暑を忘れる、なんだかスカッとする本

『暑さ寒さも彼岸まで』と言いますが、お彼岸まであと数日だというのに、ずっと真夏日が続いています。

体調管理には気を付けていたのですが、昨日から風邪気味で、今日は頭痛の上に吐き気まで加わり、大事を取って朝から家に引きこもっていました。

 

風邪をひいたときは眠くなるし、たっぷり眠って体力の回復を図ろうと、すぐに寝られるよう布団を敷いたまま、何か本を読めば眠くなるだろうと、図書館で借りてきた本の読み残しを手に取りました。

 

韓国のク・ビョンモ著『破果』という本です。

65歳で女性で現役の殺し屋が主人公という珍しさにひかれて借りた本でした。

 

75歳の私から見れば、65歳というのはずいぶん若いのですが、身体を酷使するであろう過酷な職業についた、しかも女性、いったいどんな人生なのだろうかと興味津々。

 

題名の『破果』というのは、「傷んでしまった果物」という意味と「女性の年齢の16歳」という二つの意味があるそうで、「たとえ肉体は劣化しても、16歳のみずみずしい心が消えるわけではない」という二つの意味があるそうです。

 

本当に、私の心にも16歳が残っていて、友人とおしゃべりしている時などに顔を出しますよ。

 

では「傷んだ果物なのわたし?」と不満もありますが、その不満が吹っ飛ぶほど面白い本でした。

 

殺し屋業界についてどうやって調べたのだろうかと思うほど全てがリアルで、説得力があり、アクションシーンは手に汗握ります。

 

感情を押し殺して生きてきた殺し屋、余計な感情は一切現わさずに生きてきた殺し屋の心の隙間から思わず溢れ出てしまう優しさが、何とも言えず切ないのです。

 

ここで韓国情報を一つ。

バッカスレディ』って、ご存知ですか?『高齢男性が多く集まる公園などで、滋養強壮剤「バッカスⅮ」などを勧めながら性売買を持ちかける中高年を指す言葉』だそうです。

 

日本にはこういう言葉はあるのかないのか知りませんが、こういう職業はあるでしょうね。

だって、私たち女性は長い間男性社会で経済的にも不利な立場に置かれ、年金も十分ではなく、生活に困っている女性が沢山いるからです。

 

許されない仕事ではありますが、主人公がお金にだけは困らない老後を送れそうで、ちょっとホッとしました。

 

残った手の「ひび割れ、傷つき、よじれた爪」に、若い時には諦めていたネイルアートを施し、その作品に見入る。

 

『すべてのいのちは、熟した果物や夜空に放たれた花火と同じ、散って消え去るから、ひときわ眩い瞬間を、一度くらいは手にするのかもしれない。

今こそ、与えられたすべての喪失を生きるとき。』

 

鬼畜のような人殺しではありますが、主人公、爪角(チョガクと読み、破片、カケラの意)が、その生い立ちや生業ゆえに喪失した人生を、これから思いっきり自分らしく生きて行くことをこの言葉は暗示しているのだろうと思います。

 

「今こそ、与えられたすべての喪失を生きるとき。」

いい言葉ですね。

人は老人になって、やっと仕事や子育てなどの義務から解放されます。人によりますが、精神的にも余計な見栄や外聞を捨て、少しは他人の目が気にならなくなり、自己主張もできるようになり、自由度が高くなります。

自分を取り戻し、若い時代に諦めてきたことに挑戦しなければ、もったいないですよね。

 

内科、歯科、眼科、皮膚科に通いながら、神様に頂いた命を最後まで輝かせるべく、私も頑張ります。

 

面白くって、結局最後まで一気に読んでしまい、寝られませんでしたが、なんだか心がとても元気になりました。

お勧めです。

 

 

 

             北千住のスピリチュアルな占い師   安 寿