2022年本屋大賞受賞、逢坂冬馬氏著『同志少女よ敵を撃て』を読みました。
舞台がソ連であり、いま世界中が心を痛めているウクライナへの侵略戦争とは真逆で、当時ソ連だったロシアがナチス・ドイツに攻め込まれている時の話なのですが、今ニュースに出てくるような地名が出てきますし、どうしても今の状況と重ねて読んでしまいます。
著者本人も驚いているようですが、この本はロシアのウクライナ侵略が始まる前年2021年に初版が出ていますので、本当にタイムリーというか単なる偶然とは思えない感じがします。
当時は侵略される側だったソ連が、今は共にナチス・ドイツと戦った戦友とも言えるウクライナへの侵略者になっていますし。
物語の主人公は、その第二次世界大戦での独ソ戦で活躍した女性狙撃兵の話です。
女性狙撃兵が主人公ですから、当然中心テーマは『戦争とジェンダー』です。
ソ連には実際に女性の狙撃兵がいたのだそうで、村を焼かれ、親兄弟を殺されたような様々な事情を背負った少女たちが選ばれ、厳しい訓練を受け、狙撃兵となり前線に送られ人を殺し殺され、男性の兵士なら敵をたくさん倒せば英雄なのに、女性の狙撃兵は戦後の世の中では白眼視される存在だったようです。
その戦争に関する事が非常に詳しく調べられていて、戦闘場面は手に汗握る迫力で、戦争経験のない若い作者が、よくこんなに臨場感あふれる描写ができるものだと感心しました。
戦争は誰も幸せにしません。戦争を起こした張本人でさえ無傷ではいられません。
それなのに、ロシアのプーチンのような独裁者が、自身の野望のために他国を侵略するのです。
ミャンマーの軍事独裁政権のように、自国の人民を抑圧して権利を奪い、自分たちの思うように支配するために抵抗する国民を殺しています。
それらの独裁者たちは、いつも自分は安全な場所にいて、国民の命を平気で危険にさらしているのです。
今のロシアの状態を、ウクライナの戦いを我々一般国民は刮目してみておかなければなりません。
世界を敵に回したプーチンがどうなるのか、ロシアがどうなるのか。
プーチンのような人間はこの日本にもいたし、現在もいるのです。
80年程前の日本は軍国主義で、言論の自由も民主主義もなく、国民は侵略戦争に駆り出され敗戦したことを忘れてはいけません。
私も日本を守るために、ある程度の軍備は必要だと思いますが、それ以上に大切なのは外交力だと思います。
使ったら世界が破滅するのですから、使えない核兵器を持っても仕方ありませんし、何よりも被爆国である日本が核を持ったら、広島や長崎の犠牲者に顔向けできません。
中国が攻めてきたら、アメリカが核を使ってまで日本を守ると思いますか?
ウクライナを守りたくても手を出せないのは、第三次世界大戦になるのが嫌だからです。
戦争の拡大や核戦争はお互い避けたいのです。
日本のような小さな国が軍拡競争に参加しても、大国には勝てません。
攻め込まれないようにするためには、中立の立場をとり、出来るだけたくさんの国々と、政治経済や文化の面でも協力し合い、手をつなぐことが何より大切だと思います。
今までのようにアメリカだけを頼りにするのは危険です。
むしろロシアや中国を刺激しないように、米軍基地を減らし、不平等な日米地位協定をやめ、アメリカとは対等に付き合う姿勢を世界に示した方が安全でしょう。
「いざとなったらアメリカが出て来るよ」的な脅しは必要でしょうが、今のようにアメリカのポチをやっているのは敗戦国でも日本だけです。
赤字大国日本ですから、米軍基地に対する思いやり予算も見直す時が来ているのではないでしょうか。
とにかく、小国日本はあの手この手でアジアの中立国としての地位を得て、憲法九条の下、戦争とは無縁の平和国家となってほしいと切に願っています。
北千住のスピリチュアルな占い師 安 寿