安寿の小径

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怪猫クロちゃん 逝く

我が家の長寿猫クロちゃんが、5月22日午前零時13分に亡くなりました。23歳1か月でした。

 

5月にしては暑い日が続き、そして急に寒くなり、クーラーをつけたり、暖房にしたり、室温調節にも気遣う日々が続いていましたが、昨年の12月から体に水が溜まっていたクロにはこの気温変化が、やはり厳しかったのでしょう。

また少しずつお腹が膨らんできて、食欲も落ちてきたので17日病院へ連れて行きました。

胸水と腹水を抜いてもらい、少し元気になったのでほっとしました。

 

先生が万が一のためという事で、酸素室のレンタルについてお話しくださったのですが、私は今までクロが何度も危機を乗り越えてきたことから、まだ大丈夫、使うにしてもまだ先の事だろうという気持ちで先生のお話を伺っていました。

 

でも先生は、やはりクロの状態を正しく診ていらしたのだと思います。

病院に行った翌日あたりから、クロの食が細り始めました。

 

それでも今まで通り、私が朝目覚めた時や、買い物から帰った時など、「よいしょ」とばかり体を起こし、立ち上がって、一歩一歩体をゆするようにして歩きながら私に近づいてきます。

元気なころはよく鳴いていろいろ要求する猫で、それが人間の話し言葉に似ていて、時々びっくりしたものです。

特に朝は「オニャニョー」と鳴いて私を起こすこともしばしばでした。

 

体に水が溜まってからはほとんど鳴くこともなくなり、時々喉の奥から「クウー」という子猫のようなかわいい声を出します。

目も見えないはずなのに、ちゃんと私のそばに来てじっと見つめるのです。

 

以前なら子犬のようにペロペロ私を舐めたのですが、毛づくろいもほとんどしなくなった今は、見えない目でじっと私を見て、撫でて欲しいと無言で訴えるのです。

体がしんどくて、撫でてもらうと気持ちがよかったのでしょうね。

 

亡くなる2日前からはほとんど何も食べなくなり、水も飲まなくなり、それでもトイレだけは自分で行こうとします。

でも用を足すと疲れて、トイレから出るのもやっとで、出ると床にべったりと寝そべってしまいます。

最後になった大便の時は腰を支えてやったのですが、し終わると、そのままトイレの中に突っ伏してしまいました。

全力を出し切ったという感じです。

プライドの高いクロはオムツを嫌がったので、吸水シートを敷き詰めて失敗しても大丈夫な準備はしていましたが、おもらししたのは一回だけで、最後までトイレで用を足していました。

 

飲まず食わずですからトイレの回数も少なくなり、ほとんど眠っていました。

亡くなる前日は、ほぼ昏睡状態という感じで、時折目を覚まし顔を上げて周りを見回すようにするのですが、もう意識は飛んでいるようで、時折「クゥー、クゥー」と喉の奥から声が漏れる感じで鳴いていました。

 

午前零時を過ぎたので、そろそろ寝ようかと寝る前のお祈りを始めた時です。

鳴き声を上げながら、2,3度のけぞるように全身を伸ばした後、クロの呼吸が止まりました。

肺にも水が溜まっていたにもかかわらず、呼吸が苦しそうになることはなく、結局、酸素室は使わずに済みました。

この状態の猫なら、普通はきっと酸素を使うようになったのではないかと思います。

 

長寿猫のクロは病院でも注目されていて、院長先生が「この子はすごいですねえ」といつも感心してくださったのですが、今度のことをお話したら、またきっとそう言ってクロをほめてくださるような気がします。

 

最期の時まで、あまり苦しそうではなかったことが本当に救いです。

きっと今まで頑張ってきたクロを神様が祝福してくださったのでしょう。

 

用意した段ボール箱にバスタオルを敷いて、クロを寝かせました。

クロと最後の夜を過ごしながら、クロと過ごした長いような短いような8年間を思い返していました。

前の飼い主が認知症で施設に入ることになり、飼っていた猫の引き取り手がいないので、クリスマスの夜、息子がクロを連れてきました。

その飼い主も、三年前に亡くなり、そういえば、21日がその方の月命日でした。

クロがあまり苦しまないうちにその方が連れて行ってくださったのかもしれません。

 

店が開くのを待って花を買ってきて、色とりどりの花で華やかにクロの遺体を飾ってやりました。

「よかったね。」「やっと楽になれたね。」「よく頑張ったね。」とクロをねぎらいながら、一つ一つ花を置いていきました。

 

動物霊園の車が迎えに来たときは、涙が止まらず、体をなでてやると、冷たくもなくふわふわしていて、生きているようでした。

お別れの言葉は「ありがとう」です。クロに対しては感謝の気持ちしかありません。

 

翌朝、悲しみというよりも喪失感の方がつらくて、ぼんやり遅い朝ご飯を食べていたところ、思いがけずクロがお世話になっていた動物病院から素敵な花束が届きました。ブルーを基調にしたピンクの濃淡の小さな花がかわいらしい華やかで美しい花束で、一目で気持ちが和みました。

早速クロが寝ていた窓辺の床の上に飾りました。

 

花の美しさが、こんなに心に沁みたことはありませんでした。

病院の先生方のお心遣いが本当にうれしかったです。

先生たちにかわいがられて、クロは幸せでした。

 

その花をぼんやり見ていたら

「乙女のように若返って、この花みたいに可愛くなったよ。幸せにやっているから心配しないでね。ありがとう」とクロからのメッセージがきたような気がしました。

古い重い肉体を脱ぎ捨てて、クロは本当に乙女のように軽やかに花園で遊んでいるに違いありません。

 

49日まではその辺をうろちょろしてるんじゃないかという期待から、夜寝るたびに、「足音くらい聞かせてよ」とクロに呼び掛けているのですが、さっさと成仏してしまったようで、全く気配を感じません。

姉の所のワンちゃんは、新盆に姿を現したので、私も新盆に期待できるかもしれません。

でもツンデレの猫は、やっぱり無理かも。それでいいのですね。

 

 

 

                  北千住のスピリチュアルな占い師   安 寿