安寿の小径

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不妊治療と子供の権利

先日の朝日新聞の記事で、非配偶者間の人工授精で生まれたお医者様、加藤英明氏の記事が写真入りで大きく載っていて、大変興味深く読ませていただきました。


匿名の提供者の精子を使う人工授精で、日本では1948年に始まったそうです。
加藤氏はずっとその事実を知らされていなかったのですが、29歳の時、父母と自分の血液で白血球の型を調べる実習中、お父様と血の繋がりのない事に気付いたそうです。


そのショックはいかばかりか、本当に受け入れがたい事実だったと思います。
頭が柔軟な幼い頃に知らされた方が、受け入れやすいのではないかと私は思います。
そしてその方が育つにつれて、逆に育ての親への感謝が生まれるような気がするのですが…。


私が子供だった頃、そんな風にして何人もの赤ちゃんが生まれたと、日本の医療技術の進歩と不妊に悩む親たちを救う喜びのニュースとして、たびたび報道されていました。


でも私は「精子提供者は絶対秘密」という事を聞いて、子供心に、赤ちゃんが大きくなったら、きっと本当の親を知りたがるだろうなと思ったことを覚えています。


それというのも、当時、シンデレラ物語をはじめとして、少女マンガで継母にいじめられるという話が多かったこともあって、母と折り合いが悪かった私は、叱られて悔しかったりさびしかったりすると、きっと私の本当の母親はほかにいるのだと思うような子供だったから、親子関係には人一倍敏感だったのでしょう。


何年かして、夫婦合意の上で人工授精したのに、夫の方がどうしても赤ちゃんを受け入れられなくて、離婚したとかいう話も聞いたことがあります。


あの当時の赤ちゃんが、こんなに立派なお医者様になって、ご活躍しているのだなあと、ちょっと感動しました。


今では不妊治療も発達して、卵子の提供や代理出産、子宮移植、死後の卵子精子を使う治療など、どんどん進歩しているのに、それなのに我が国日本では、60年前と同じように、子供自身の「出自を知る権利」を無視したまま、不妊治療が続けられているのだなあと怒りに似た感情を覚えます。


本当に、加藤氏のおっしゃる通り、「出自を知りたいという願いは人として根源的なものだ」と思いますし、「精子でも卵子でも、第三者からの提供を受けての不妊治療なら、子供に知らせる覚悟をもってやってほしい。能動的に選択したのだから、子供の思いにまで責任を持つべきです。隠すことはその責任を放棄することです」というご意見にも賛成です。


それでも「日本のある調査ではAIDを利用したカップルの9割近くは子供に事実を知らせない」と答えているそうで、いまだに「子供が不幸になるから知らせてはいけないと勝手に思い込んでいる」カップルが多いのだそうです。


「欧米各国ではAIDで生まれた子供の多くが自分ではっきりその事実を語ります。親から精子提供の事実を知らされているからです。異母きょうだいを探すことも当然のように行われています」という事ですから、なんという違いでしょう。


加藤氏は「AIDで生まれた人の自助グループ」を立ち上げて、活動されています。
1万5千人以上がAIDで生まれたとされているのに、そして、そのグループを立ち上げて12年もたつのにメンバーは10人くらいだそうです。
いかに日本社会が親の側にしか視点を持たず、子供の気持ちを無視して来たかという事ですね。


以前『父になる』という赤ちゃん取り違えを扱った映画を見た時にも親子とは何かと考えさせられました。


また何年か前、遺産相続の事を巡って、兄弟三人が、どうも自分たちと長男は本当の兄弟ではないのではないかと疑い、いろいろ調べて、実はお兄さんが赤ちゃんの時取り違えられていたことが判明し、遺伝子上の兄、つまり実の兄も探し出したという、確かそんなドラマ以上の事件があったように記憶しています。


加藤氏も医学生だったという遺伝子上のお父様と同じ医学の道を歩んでいます。
兄弟三人が違和感を覚えるほど、遺伝子的に他人のお兄さんは三人とは違っていたのでしょう。
二歳の時に分かれて、それ以来一度も会っていない父親に、容姿も性格もそっくりだという人も知っています。
だから遺伝子は無視できませんが、かたや、親子や兄弟よりも仲睦まじい他人同士の関係もたくさん知っています。


アメリカの女優さんなんか、それぞれ肌の色の違う子供たちを何人も養子にして育てている人もいますね。
日本人だって、ちょっと昔の人は、跡継ぎがいないと老後の生活に困ったので、養子や養女をもらっていました。
エスキモーの人たちは、自分たちの子供が育ってしまうと、楽しみのために子供をもらってきて育てるなんて話も聞きます。


ちなみに占いでも、子供の星のない人、生まれた月が天中殺月の人は子供縁が薄いと言われます。
そこに前世での失敗があるわけです。
だからこういう人は子供が生まれないという訳ではありません。しかし子育てが下手なので、自分一人であまり頑張り過ぎないことです。子供を私物化しないで、一人の人間として、扱うように注意して下さいという事です。


子縁の薄い人は、逆に子供をたくさん産むといいのです。
子供が子供の面倒を見てくれ、母親の不足を補いますから、良い子に育つのです。
子供はおじいちゃんやおばあちゃん、近所の人、保育園、幼稚園の先生、ママ友などたくさんの人の気をもらって育つ方が安定します。


またボランティアも前世の失敗を償うのにはいいのです。
子供の施設でボランティアしたり、世界中の厳しい環境にいる子供たちに寄付したり、親に恵まれない子供たちの里親になったり等など、無理をしないで、永く続けて下さいね。


血が繋がっている子もいない子も、全ての子供は神様からの預かりものです。
実の親だって、その子の養育を託されているだけです。
ボランティアの子育て期間が終われば、その子を世の中に差し出さなくてはなりません。
全ての子供は、神様のもの。自分の子だ、他人の子だと区別する心の狭さがいろんな問題を生み出すもとです。
どの子も大切に、けれど縛らず、つなぎ留めず、おおらかに受け入れていくようになれば、子供の出自に対しても、もっとオープンになれるのではないでしょうか。





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