気候変動への危機感を抱きつつ、身の回りにあふれるプラスチック製品に罪悪感の毎日。
地球環境を保全するためには、今すぐ物であふれかえった便利な生活をやめるしかないと思うのですが、自分にできる事など微々たるもの。
実際どうしたら気候変動を止められるのか、考えても気が遠くなるような話で、希望が見えず、絶望的な気分になっていました。
アーミッシュの人々のように、相互信頼、相互扶助のネットワークの中で、電気もガスも使わない時代の生活に戻れば地球は救われるかもしれないけれど、便利な生活にどっぷりつかってきた私たちには不可能に近いだろうなと思っていました。
せめて自分一人でも、出来る事はやろうと努力していますが、無力感が募るばかりでした。
そんな時に新聞広告で目にしたのがこの本です。
「気候変動、コロナ禍…。文明崩壊の危機。唯一の解決策は潤沢な脱成長経済だ。」という広告文にひかれてさっそく読んでみました。
経済には無知な私でも、先進国の都市住民の贅沢な生活が、気候変動の一因であるとはうすうす気づいていました。
同じ都市生活でも、私が子供の頃、約70年程前には今の暮らしは想像もできないものです。
当時は、酒や調味料、油等はみな量り売りで、一升瓶をもって買いに行きましたし、お豆腐は鍋をもって買いに行き、魚や肉は竹の皮や紙のように薄く削った木で作った経木に包み、その上から新聞紙で包みます。
湿布は和紙に薬を塗り油紙を当てるのです。
口紅や塗り薬も二枚貝の貝殻に入っているものもあって、みんな自然に還る素材でした。
斎藤さんの本には、どの道を行けば人が自然と共存しつつ、人として心身ともに豊かに生活できるようになるか具体的に分かりやすく書いてあります。
資本主義の問題や共産主義の問題も書かれていて、この年になって「ああ、そうだったのか」と、目からうろこが何枚剥がれ落ちたことでしょう。
どうしたら本当の民主主義が育っていくのか、そして豊かに脱成長していけるのか、私でもわかるくらい具体的な例をたくさんあげて書いてあります。
私はこの本を一人でも多くの方に読んでもらいたいと今切実に願っています。
政治家にも一般市民にも、特にこれからの厳しい時代を生きなければならない若い人たちには、自分の事として是非読んで、考えてもらいたいのです。
今、人類は、気候変動を食い止めなければならないギリギリの所にいるのですから。
このままずるずる行けば、人類は滅亡するしかないのですから。
この本を読んで強く思ったことは、民主主義を守るには、あなた任せではいけないという事です。
一人一人が民主主義を守るために、地球環境を守るために何を考え何をすべきか、何をしてはならないかを日々ちゃんと考えて、判断していかなければならないという事です。
政治家や専門家など、誰かに任せっぱなしが一番危険です。
自分や自分の家族、子供や孫の幸せを考えるなら、政治や気候変動の事に無知や無関心であってはならないはずです。
この本を読むまで私は全く知らなかったのですが、もうすでに世界では斎藤さんの目指す脱成長社会の萌芽が現れているのだそうです。
合理的でエコロジカルな都市改革の動きが、世界中の地方都市に芽生えつつあって、その一つが「フィアレス・シティ(恐れ知らずの都市)」の旗を掲げるスペインのバルセロナだそうです。
「フィアレス・シティ」とは、「国家に対しても、グローバル企業に対しても恐れずに、住民のために行動することを目指す都市」です。
そのバルセロナの宣言の「経済モデルの変革」の項目の一部を引用します。
「既存の経済モデルは、恒常的な成長と利潤獲得のための終わりなき競争に基づくもので、自然資源の消費は増え続けていく。こうして、地球の生態学的バランスを危機に陥れているこの経済システムは、同時に、経済格差も著しく拡大させている。豊かな国の、とりわけ富裕層による過剰な消費に、グローバルな環境危機、特に気候危機のほとんどの原因があるのは、間違いない。」
こんな素晴らしい宣言をする都市がすでに地球上に存在していたのは驚きです。
詳しくは是非斎藤さんのご著書をお読みください。未来に対する希望が生まれること間違いなしです。
斎藤さんのご著書は世界中で読まれているそうですから、私が知らないだけで、脱成長社会を目指す人々がもうすでに世界中に育っているのかもしれませんね。
夢がどんどん膨らんで、暗かった未来が明るくなってきました。
無力感に囚われていた私の個人的な脱プラスティック努力にもやりがいが生まれました。
老い先短い私ですが、子や孫たちのため、未来に向けて頑張らねば!
北千住のスピリチュアルな占い師 安 寿