安寿の小径

北千住のスピリチュアルな占い師 安寿のブログ http://anju.cho88.com/

岩を抱く屋久杉

先日、ジムのランニングマシーンで歩いている時、偶然、感銘深いテレビ番組に出合いました。
途中から見たので正確ではありませんが、屋久島の杉、かの有名な縄文杉を超える巨木がまだ屋久島にはあるのではないかという推測のもと、屋久島の険しく深い森の中を探索するというような番組でした。


屋久島については、「縄文杉という巨木が生えている、熱帯雨林のジャングルのような島」というイメージしか無く、深い森と清らかな水の流れを想像して、勝手にロマンティックな想いを抱いていましたが、蒸し暑い場所は苦手だし、自然の中の元気な虫たちも苦手だし、屋久島は私には『遠くにありて想う場所』でした。


その番組によると、屋久島は、マグマが海の深い所で固まった花崗岩が隆起して出来た岩ばかりの島で、ほぼ全域が山地なのだそうです。


その山も1000mから1900m級で、洋上アルプスと言われる九州最高峰の山々が連なっているのだとか。
屋久島イコール亜熱帯と考えていた私は、全く裾野しか見ていなかったことになります。
山頂付近の年間平均気温は6度から7度で、積雪が観測される日本最南端だというのですから、自分の無知にあきれます。
裾野は亜熱帯、山頂付近は亜寒帯の島なのです。


花崗岩が隆起して形成された屋久島は、日本で最も年間雨量の多い所でもあります。
激しい雨に浸食された花崗岩は、巨大な岩塊となって島全体に点在するのだとか。


その岩の上に苔が生え、草や木が生え始めるのです。
杉の種も、熱帯雨林が育んだ屋久島特有のふかふかの苔のベッドで芽吹きます。
でも楽ちんなのはその揺籃期だけ。


苔の下は硬い岩で、滋養に満ちた土は有りません。
小さな杉の子の根は養分を求めて岩の上を這います。


養分は少なく、杉の子はなかなか育ちません。
それでも岩にしがみつき、しっかり根を張らないと、少ない養分すら得られないし、激しい雨や風、雪に耐えられません。
種の落ちた場所が急斜面だったり、岩をしっかり掴めなかったら、杉の子は大きくなることはないでしょう。


その過酷な環境に耐え、粘り強く成長し続けたものだけが、丈夫な屋久杉になるのです。
普通の杉の寿命は500年くらいだそうですが、屋久杉と言われるものは樹齢1000年以上だそうです。
正しく言えば、樹齢1000年を超えなければ、屋久杉とは言わないのだそうです。


成長の遅い屋久杉の年輪はものすごく密で、普通なら1センチある所1ミリ位の間隔が続くのだとか。
そのお蔭で樹脂がしっかり染み込んで、腐りにくく、硬い屋久杉になり、優れた建築資材などとして珍重されてきたのですね。
樹齢1000年を超える屋久杉は、皆太い根で大きな岩をがっしりと抱えて、数十メートルも幹や枝を天に向かって伸ばしています。


有名な縄文杉は2000年以上、大王杉は3000年以上、激しい風雨や風雪に耐えて、岩を抱いて生き続けているのです。
もう、想像するだけで感動的です。
大いなるその生命力に頭が下がります。


神は時々自然の中にその姿を現して、その姿を示すことで大切な事を私たちに教えて下さいますが、屋久杉の姿も正に神の啓示だと思います。


「忍耐こそがあなたを強くし、世の中に用いられる存在にするのですよ」とおっしゃっているようです。


あの探検隊の人たちが、縄文杉を超える巨木に出合えたのかどうか、残念ながら途中でウォーキングを終了しなければならず、結果はわかりませんでした。


でも屋久島という島の事を知り、その厳しい環境の中で逞しく生きる屋久杉の事を知っただけで私はものすごく大切なものを学ばせていただいた気がします。


これからきっと私は、苦しい時、悲しい時、辛い時に、巨岩を抱え凛として天に伸びる屋久杉の姿を思い出して、挫けそうな弱い心を支え、励ましていこうと思います。
どこかで屋久杉の写真を手に入れ、ぜひ部屋に飾りたいものです。
そしてできれば屋久島に行き、本物を見たいと思うようになりました。
私の中にまた一つ、小さな夢が生まれました。


素敵な番組と出会えた事に感謝です。



                北千住のスピリチュアルな占い師    安 寿