安寿の小径

北千住のスピリチュアルな占い師 安寿のブログ http://anju.cho88.com/

        春  陰

3月とは言え、まだまだ冷たい風に、思わずダウンコートの前をしっかり合わせてしまいますが、明るい日差しは間違いなく春ですね。


今日、南千住まで歩こうと汐入橋に差し掛かったらびっくり、なんと隅田川沿いの桜並木の桜が、ほぼ三分咲きなんです。
日当たりのいいところでは四分咲き位で、寒い川風にハラハラと散っていました。
もうすぐ桜の季節ですね。
お花見が待ち遠しい半面、今年はちょっと喜べない気もしているのです。


実は今年21歳になる愛猫クロちゃんの食欲が、2月の下旬あたりから急に落ちてきているのです。


昨年9月初め、家具の下に潜り込んだまま、急に餌も食べず、水も飲まなくなり、トイレの回数も極端に減って、もうダメかと思った時があったのですが、何とか持ち直して、前ほどの食欲はないものの、まずまず元気で年を越し、2月中旬まで順調だったのですが。


単に少し風邪気味で食欲が落ちているだけかもしれませんが、高齢なので油断できません。
でももしかしたら、老衰で亡くなる時は、こんな風にじわじわと衰えていくものなのかもしれないと思ったり、何となく気持ちが落ち着かない日々を過ごしています。


私もスピリチュアリストの端くれ、死はあの世での誕生、クロちゃんの魂は永遠で、古い肉体を脱ぎ捨てて、あの世に帰るのだから、悲しむべきものではないと思うのですが、現実に別れが迫ってくると、なんだか胸が苦しくなるのです。


でも落ち込んではいられません。もし最後の時を過ごしているのであればなおさら、クロちゃんが気持ちよく過ごせるように、できるだけの事はしてやらなければなりません。


私自身がそうしてもらいたいので、クロちゃんも病院へ行くときは苦しんだ時の緩和ケアだけだと決めています。


今のところ、食欲が無いだけで、水も飲みますし、ペースト状の餌は少し食べます。
ただ、後ろ足が弱ってきているみたいで、座る時、後ろ足をそろえて座るようになりました。
また、立っているのがしんどいのか、すぐごろりと体を横たえます。


クロはいつもより甘えん坊になって、目覚めている時は私の膝の上に乗ったり、身体の一部を私にくっつけて寝そべったり、私が家事で動いていると、鳴いて私を呼ぶのです。


猫も長く生きているといろいろな鳴き方ができるようになるのか、かまってもらえないと、捨て台詞の様に『ニャゴ ニャゴ ニャゴ』と不機嫌な鳴き声を上げながら自分の寝床へ帰って行きます。
捨て台詞だけで気が済まない時には、壁の方を向いて、犬の遠吠えの様に『ニャオォ〜ン ニャオォ〜ン』と恨めしそうに、世にも悲しげに鳴くのです。
その『クロの恨み節』を聞くのが切なくて、いつもクロの要求に負けてしまう私です。


外出から戻った時は大変です。
「遅かったじゃないの。どこ行ってたのよ!」とばかり、怒りのこもったような低い声で『ウナァ〜』と鳴きながら、「早く撫でろ!」と身体を摺り寄せて来るのです。
私の着替えを優先して、クロを後回しにしたら大変、『ギャ〜オ ギャ〜オ』と鳴きながら後をつけ回し、それでもかまってもらえないと知ると、クロの『恨み節』が始まります。
とにかく、少し撫でてはコートを脱いで、また撫でては靴下脱いでと、クロをなだめながらの着替えです。


買って来たものなどをすぐに冷蔵庫にしまいたいのをぐっと我慢して、ひたすらクロちゃんをナデナデ。
10分くらいモミクシャになるまで撫でてやると、やっと満足して、寝床に入り毛づくろいを始めます。


猫を飼うのは、三歳児を育てている時によく似ています。
絶対に待ってくれないし、付きまとうし、汚したり、壊したり、お漏らししたり、吐いたり、うんち踏んじゃったり、本当に大変。
でもかわいい!


愛するという事は、自分の命の時間を、惜しみなく相手のために使う事だなあとつくづく思います。


クロを抱き上げたら、ふっと軽くなっていました。
膝の上にそっと置いて撫でてやると満足そうに眼を閉じてのどをゴロゴロいわせています。


太腿に感じるクロちゃんの温かさ。
命と命、魂と魂が寄り添っている時です。


「一緒に桜見に行こうね」とクロを撫でると、クロは私の指先をなめてくれました。
「ありがとう」とわたし。不覚にもポロリと涙がこぼれてしまいました。



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