安寿の小径

北千住のスピリチュアルな占い師 安寿のブログ http://anju.cho88.com/

神様のいたずら

今年、私は天中殺で、特に経済的に厳しい年回りだと覚悟はしていたが、本当に厳しい。


特に8月は、皆さんレジャーで散財するから、お客様が少なくて、青息吐息だ。


久しぶりのお客様でやっと一息ついたところ、WFPを始め、数か所から夏季の寄付の依頼が舞い込んだ。


「う〜ん、厳しいなあ。」
私は1万円札を眺めてちょっと悩んだ。
このお金が無くても、私はまだ何とか食べていける。
だが、アフリカや紛争地域の子供たちは、今日の食べ物に困ってるんだ。

マザー・テレサ様もおっしゃっていたではないか。
余っているものを与えるのではなく、痛みを感じるくらいでなければ、本当の意味で与えたことにはならないと。


えい!やぁ!と自分にムチ打って全額寄付に回した。


翌日、支払いのために準備しておいたお金を、確認のため封筒から取り出して数えたところ、ぴったり2枚入れたはずが、1枚多いのだ。
ちょうど私が寄付したお金と同じ金額だけ多い。


入れ間違えたんじゃないの?と皆さんはおっしゃるだろうが、そのお金を封筒に入れた時、手元には1万円札が3枚しかなくて、入れ間違えたら一枚も残らないのだからすぐわかる。
いくら私が慌て者でも、間違えることはありえないのだ。
すごく不思議だった。


私の大好きなフジ子・ヘミングさんも、同じような経験をなさっているのを思い出した。


ある日、セーターを買いたくなって衣料品店に寄り、気に入ったセーターを見付けたが、手持ちのお金が無かったから、翌日買う事にして店を出ると、『真っ黒に薄汚れた服を着た』ジプシーの子供が、おそるおそる手を差し出して『お金…ちょうだい』と言った。


『少年というにはまだ早い年齢』の子供のうるんだような瞳を見て、とてもかわいそうになったのだそうだ。


そのころのフジ子さんの生活は決して楽では無く、お金の心配で心が塞ぐこともたびたびだったという。


それでも彼女はその子供を伴い、銀行へ行き、20マルク、日本円で二千円ほどのお金を下ろし、その子に手渡した。
数十年前の2千円だから、かなりの大金だ。子供が大喜びしたのは言うまでもない。


翌日の夕方、フジ子さんは晴れ晴れとした気持ちでセーターを買いに行った。
すると昨日の店員とは違う店員がいて、値段を聞くと20マルク(約2千円)だというので驚いたそうだ。なぜなら、昨日値段を確かめた時には確か40マルクだったから。


『こんなことってあるのかしら。
昨日、あの子に渡した20マルク分だけ安くなっているなんて。
わたしはなんだか不思議で仕方なかった。
神様のいたずらみたい。
スーッと晴れるような心持で、自転車を走らせた。まるでこのまま自転車が宙に浮いて、空を飛ぶんじゃないだろうか、そんな気がした。』

(『フジ子・ヘミング 魂のピアニスト』求龍堂 より)


本当は数え間違い、見間違いかもしれない。
でも、私やフジ子さんには、真実小さな奇跡だったのだ。


「君たちを、ちゃんと見てるよ」
そう、言いたくて、神様はこんな小さないたずらをなさるのかもしれない。

神様に出会えた様な気がして嬉しかった。


       北千住のスピリチュアルな占い師    安 寿