3月3日お雛祭り日の朝日新聞朝刊第一面に『新型出生前診断(NIPT)』に関する記事が掲載されていました。
胎児が染色体に異常を持っているかどうか検査する『出生前診断』は異常率が高まる35歳以上の高齢の妊婦さんなどに2013年から、条件を満たす総合病院などの認可施設で限定的に行われるようになりました。
今回、その施設条件を大幅に緩和しようというのです。
緩和する理由は、認可外施設で検査を受けて、不十分なカウンセリングなどで妊婦が戸惑うなど、様々な問題が生じているため、希望者が良好な施設で検査を受けやすくするためだというのです。
なぜ認可外の施設がNIPT検査をしたがるかと言えば、検査の値段が高いので、色々な施設が検査したがっているのだそうです。
つまりこの検査はお金が儲かるのですね。
勧められたとしても、この検査を安易な気持ちで受けるのは危険です。
万が一陽性だった場合、非常に重い選択をしなければならないからです。
初めて『出生前検診』の事を知った時、生まれる前に選別されてしまう子供の事を思い、これは障害者差別につながる考え方ではないかと思いました。
染色体異常の診断が確定された妊婦の約9割が妊娠中絶したそうです。
ナチスドイツの優生思想や、今、訴訟問題になっている戦前の日本で制定された優生保護法、つまり障害を持つ人の妊娠出産の権利を奪い、障害者を社会から排除しようとした思想であり政策です。
神奈川県で起きた痛ましい事件『やまゆり園』の事も思い出されました。
もちろん、この検査を受けようというご夫婦には、障害者差別という気持ちはなく、親ならだれでもが抱く、『健康な赤ちゃんを授かりたい』という気持ちと、障害児を育てる困難さに対する不安があっての事なのだと思います。
35歳以上になって授かった赤ちゃん。
もしかしたら、苦しい不妊治療を乗り越えてやっと授かった赤ちゃんかもしれません。
検査結果がもし陽性だったら、どうするのか、重い決断を迫られます。
中絶手術をしたら、再度の妊娠は望めないかもしれません。
検査結果を前にして、夫と妻で意見が分かれるかもしれません。
どの親も、産まれれば、産まれた子に障害があっても懸命に育てようとするものです。
ダウン症の子供を持つ親は、皆、我が子がかわいいと言いますし、ダウン症の人の98%が、自分は幸福だと思っているという報告があるのですから、愛情深く大切に育てられているに違いありません。
でも産む前に周囲から障害児を持つ大変さばかりをインプットされれば、産むことに不安を覚えるのは当たり前だし、検査をしておこうかという気持ちにもなるでしょう。
世の中全体が、障害がある人イコール不幸な人と決めつけているのではないのでしょうか。
障害児を育てる親は苦労するイコール不幸という決めつけがあるのではないでしょうか。
もし仮に障害を持った子供やその親が不幸で苦労しているとするなら、かれらを不幸にし、苦労させているのは、世の中であり、社会全体の支援が足りないせいです。
障害のある子もない子も、どんな子も生まれる時には歓迎されて生まれ、育つ時には幸せになれるような社会的支援が必要不可欠です。
そうすればどんな親も子供の将来を心配することなく、安心して子供が産めます。
NIPTの検査が始まった2013年から2018年9月までに、すでに約6万5千人が受診しているそうです。
認可施設が拡大すれば、更に検査をする人が増えるでしょうし、35歳未満の妊婦さんでも検査を受ける人がでてくるのではないかと思います。
保育園の整備一つ見ても、妊婦を不安だらけにするこの国の子育て支援は貧弱だという事です。
スピリチュアル的に見れば、子供は神から委託されたもの。
子育ては神へのボランティアでありこの世の修行の一つです。
その親にとっても子供にとっても双方の魂の向上にぴったりの者同士が縁あって親子となります。
問題を回避して生きるより、問題に立ち向い、問題に飛び込んでいく方が苦労はしても、得るものはるかに大きいのです。
苦労をして得たものこそが、本物の宝です。
若いお母さんたち、勇気を出して子育てしましょう。
世の中は少しずつですが、いろんな不幸を経験しつつ、それでも確実に向上しているのですから。
北千住のスピリチュアルな占い師 安 寿