安寿の小径

北千住のスピリチュアルな占い師 安寿のブログ http://anju.cho88.com/

愛の力

9月2日の朝、飼い猫のクロちゃんが起きて来ません。
その日の午前1時ごろ、クロは大騒ぎして、いつもなら10分もしないで静かになるのに、その夜は怪しげな声で鳴きながら部屋の中をあちこち歩き回るのです。
何かいるみたいに虚空をにらみつけ、吠えるように鳴き続けます。
いつもは声をかけて少し背中をさすってやると落ち着くのですが、その日はダメでした。


じっと我慢して寝ていたのですが、しばらくすると鳴き止み、どうやらトイレのご様子。トイレの砂を蹴散らしています。
機嫌の悪い時に時々するのですが、その内スタスタと部屋に戻って来きて、わざと布団の下の私を踏みつけるようにして、最近寝場所にしているラックの下にもぐり込みました。


ホッとしたのもつかの間、「うっ!臭い!」跳ね起きて布団を見ると、ウンチの足型スタンプ。
やられたと思いクロを見ると、ラック下からこちらを窺っています。
まったく根性の悪いオババ猫!
はやく汚れ物を始末しなければと叱る余裕もなく、掛けるものが少ない夏でよかったと思いながら、とにかく布団カバーやシーツを外し、とりあえず風呂場に持って行き、抵抗するクロをラック下から引きずり出して、足をゴシゴシ。
歯のない口で噛まれたり、引っかかれたり大騒ぎでした。


これからはもっとこんなことが増えるだろうし、明日からは私の寝る部屋を別にしなければいけないなとちょっとさみしい気持ちで眠りにつきました。


と、翌朝クロがなかなか起きてこないのです。
私が出かける昼前になっても寝ているのです。
夜中に騒いで彼疲れているのかと思い、そのまま出かけたのですが、帰って来てトイレを見ても出かけた時のままです。
餌も減っていません。
声をかけると弱々しく鳴くか、返事の代りに尻尾をパタンとするだけです。


19歳の猫ですから、いつどうなっても不思議ではありませんが、あんなに元気だったのに、どうして急にぐったりしてしまったのかと、オロオロするばかり。


医者に連れて行く事も考えましたが、死にかけているなら、狭いキャリーバッグに入れられたり、点滴されたりするのは辛いだろうと、しばらく様子を見ることにしました。


エアコンはつけっぱなしですが、毎日暑いのに水も飲まず、トイレも1日に1回か2回くらいです。
それでもシニア猫用ミルクだけは少し飲みましたが、光を当てても瞳孔があまり閉じません。
もうダメかと思い、クロを子供の時から溺愛していた遠方に住む息子に連絡しました。


息子はネットでいろいろ調べてくれて、猫用タウリン(タウビタB)といろいろ栄養の入った高齢猫用の餌(アイシア社製とろとろまぐろペースト)を注文してくれました。
ネット社会の有り難さ、それらの品は注文翌日に届き、何も食べなかったクロは、タウリンを混ぜたその餌を少しずつ食べるようになりました。


前より水も飲むようになり、トイレの回数も少し増えましたが、普通のエサはドロドロ状でもスープ状になっていても受け付けません。
ほとんど一日中ラックの下に横たわっています。
夜の徘徊も無くなりましたが、朝起きたら冷たくなっているんじゃないかと、毎朝心配でした。


9月下旬、やっと休暇が取れた息子が帰ってきました。
私が声をかけても、ニャアと鳴くか面倒くさそうに尻尾をパタンとするだけだったのに、息子が呼ぶとラックの下からごそごそ這い出して来るではありませんか!
そしてちゃっかり息子の膝の上に抱かれ、あちこち撫でられてうっとりしています。


あれれ、昨日までトイレの時以外、ラックの下にこもっていたのに、どうした?
認知症になってからのクロは私の膝に乗っても落ち着かず、すぐに下りてしまったのにどうした?とちょっとショックなお母さん。
猫は人より家に付くと言いますが、やっぱり可愛がってくれる人の事は覚えているのですね。
それに私と息子とでは、愛情が違っていたのかもしれません。
私はかわいがっているつもりでも何となく義務的で、甘えて来ると、「ああ今忙しいのに」「あれをしなきゃならないのに」と思う時が多かったような気がします。
同じ撫でていても、その気持ちが猫に伝わり、本当に愛されている気がしなかったのかもしれません。
何も言えない猫は、その不満を溜めこんで、夜鳴きをするしかなかったのかもしれません。
可愛がるときは思いっきり可愛がる、今、この瞬間に思いを集中する大切さを、物言わぬクロに教えてもらった気がします。


息子は3泊4日で戻りましたが、その間クロはメキメキ元気になり、少しですが、普通のえさもカリカリも食べるようになりました。


今、クロは相変わらずラックの下で寝ていることが多く、外には出たがりませんが、食欲は以前の3分の1くらいまで回復し、トイレの回数は以前の状態にかなり近くなり、少し安心できる状態になっています。
すっかりボケる前の甘ったれ猫に戻り、起きて来るとすぐに膝の上に乗りたがり、一度乗るとこちらが立たない限り、1時間でもマッタリするようになりました。


息子が送ってくれた猫用アロマ(猫の気持ちが落ち着くアロマ)が効いているのか、以前のように夜中にあまり騒がないので助かっています。
私もかわいがる時には雑念を捨てて思いっきりかわいがる努力をしていますので、それもクロを落ち着かせているのかもしれません。


なんと言ったって愛情ですね。
愛情に勝るものはありません。
愛のもつ素晴らしい力を経験させてくれた息子とクロちゃんに感謝です。



   北千住のスピリチュアルな占い師    安 寿