安寿の小径

北千住のスピリチュアルな占い師 安寿のブログ http://anju.cho88.com/

うちの猫は認知症?

世の中、オリンピックに沸き立って、若い人たちの活躍に感激、感動していますが、我が家は毎日、猫も私も『老い』と向き合っています。


我が家の猫クロは今年19歳で、人間なら80歳位のお婆ちゃんです。
真っ黒な猫だったのですが、今や、全身白髪でグレーに見えます。
しかし長い尻尾だけは不思議に白髪がほとんどなく、真っ黒です。
よく動かすので、栄養が行き渡っているからでしょうか。


排泄も順調で、食欲もまずまずですが、昼間はほとんど寝てばかり。時々トイレに起きて来るか、少し餌を食べる程度です。
暑さのせいもあるのかもしれませんが、夜、10時ごろになるとムックリ起き出してガツガツ食べ始めます。
最近は外にもほとんど出ず、そのせいでしょうか、筋力や運動能力は落ちているようです。
それでもさすが猫、高さ50センチくらいは飛び上がったり下りたりできますが、最近は面倒なのか、飛び上がらずに、前足だけをヘリに掛けただけで、興味?意欲?を失い、またすぐに自分のネグラに戻ってしまいます。


猫は決められた場所で寝ないようで、涼しい時はカーテンの後ろがお気に入りだったのですが、クーラーをつけるほど暑くなって来たころからは、部屋の隅のラックの下、高さ15センチくらいの隙間に潜り込んでほとんど一日中眠っています。


時々心配になって、猫じゃらしでかまってみるのですが、気が向くと寝そべったまま猫パンチしてくるものの、少し尻尾を動かすだけで、反応せず、猫じゃらしで頭をポンポンしても、されるがままで、面倒くさそうに、大あくび。
遊んでもらいたい私としては、寂しい気がします。


今年3月くらいまでは、私が朝起きる時間になると餌が欲しくて、私の胸の上に飛び乗ったり、顔に冷たい鼻をピトッと付けたり、なめたり、耳元でうるさく鳴いたり、寝ている私を起こそうと毎朝大騒ぎでしたが、今では朝私が起きてもぐっすり眠っていることが多くなりました。


それもそのはず、毎晩夜中や明け方に1回か2回、威嚇するような、怪しげな声で鳴きながらパタパタ走り回って大騒ぎするのですから、朝はさぞかし疲れているのでしょう。


猫は普段絶対に物を踏みつけず、布団が敷いてあれば、布団の上には乗らず、ヘリを回ることが多いのですが、意地悪する時には、飼い主の身体の上を踏みつけて行ったり、身体に飛び乗ったりします。
夜中に荒れて、鳴きながらうろつきまわるクロは、意地悪で、寝ている私の上を、わざと何度も踏みつけていくので、私はここ数カ月、慢性的に寝不足です。
朝起きるのがつらい時など、ぐっすり寝ている猫が恨めしくなります。


昼間でも時々、突然起きて、ラックの下から這い出し、何か幻覚でも見ているかのように、あちこちに視線を向け、威嚇するように怪しげな声で唸りながら、ウロウロし出すのです。


クロはもともと甘えん坊だったのですが、今年に入ってからは更に甘えるようになり、子猫の様に足にまとわりつき、遊んでほしいと身体を擦り付けてきます。
また私が座ると、私の膝に乗りたがり、乗ってしまうと1時間でも2時間でもマッタリしていて、私はトイレにも行けず、仕事の邪魔で、少々もてあますほどでした。


それが、いつからか、相手をしてもらえないと分かると、すごく悲しげな、恨むような声を上げて鳴き、腰を落としてすごすごと部屋の片隅のラックの下に潜り込むようになりました。


そして気が付いてみれば、クロはほとんど甘えて来なくなっていたのです。
夏で暑いせいかもしれませんが、最近は膝に乗ることも少なくなり、乗ってもすぐに下りてしまいます。
クロはいろいろな事に興味を失い、自分の世界に入り込んでいるようで、起きている時はただひたすら毛づくろいしています。
時々自分の毛を、歯の抜けた口で噛んで、引き抜くようにしています。
クロのそんな姿を見るたびに、私は胸が痛むのです。
クロが甘えてきてた時期、もっともっとクロの相手をしてあげればよかったと。


父母が認知症になる過程を身近に見て来た私は、明らかに今までとは違って来たクロが認知症になってきたに違いないと思うようになりました。
人も動物も老いていく姿は同じです。
余りに長生きしすぎた動物も、認知症になるのです。


今思えば、あの時の甘えが認知症になりかかっていたクロのサインだったのでしょう。
自分を取り巻く世界が変わっていくように感じて、クロは不安で心細かったのでしょうか。
先日、出て行ってなかなか帰ってこなかったのは、もしかしたら帰ってこられなかったのかもしれません。


これを書いている時、クロが起きてきました。
どうやらトイレのようです。
トイレの後、私の傍に来たので膝に乗せてやり、体中をマッサージするように撫でてやりました。
クロも、私の太腿を服の上からベロベロ舐めてくれます。
私とクロの至福の時間。
しかしクロはまたすぐに毛づくろいを始めてしまい、私の膝から降りてしまいました。


変な声で鳴きながらうろついています。
餌が欲しいのかもしれないと思って餌をやりましたが食べません。
自分の寝床になっているラックの下を、何か怪しいものが中にいるかのようにのぞき込みながら、威嚇するように唸り、またガザゴソもぐりこんでしまいました。


認知症が進むと、トイレも上手にできなくなることもあるそうです。
この先、どんな事態になるのか見当が付きませんが、私は最後までクロの面倒を見ていきたいと思っています。
ひょんなご縁で私が飼う事になった初めての猫。
年をとって怒りっぽくなっても、ボケても、天寿を全うせんと、健気に生きている猫が愛おしいのです。


人は、その高度な脳ミソゆえに、老い先の事をあれこれ心配します。
お金の事、病気の事、認知症の事。心配しても仕方のない事を思い煩います。
確かに、世の中は安心できるような状況ではありませんが、まだ起こってもいないことを心配して、残り少ない人生を暗くしたくはありません。
クロのその日その日の淡々とした生き方を見習い、励まされています。


私たちに許された残りの時間を、お互いの体温で温めあいながら、寄りそっていこうと思っています。




        北千住のスピリチュアルな占い師    安 寿