安寿の小径

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試練は突然に!

今年の1月、長野県の湯の丸高原スキー場で、パトロール隊のスノーモービルがエンジンをかけた瞬間、無人のまま走り出し、2人の男性に次々激突し、その内の一人は意識不明の重体で病院に運ばれたというニュースが流れました。
後で、その意識不明の男性が歌仲間のSさんだったことが分かり、衝撃でした。


Sさんは私たちより少し若く、独身だったので、よくみんなにからかわれていましたが、いつもニコニコしている人でした。
月2回の歌声の会で一緒に歌を歌ったり、数回みんなでハイキングに行ったりしていたのですが、彼は口数の少ない方で、プライベートなことはあまり知りませんでした。


入院先の病院や警察に聞いても、個人情報にうるさい昨今では、知人だ、友人だと言っても何も教えてくれないだろうし、安否確認のしようがなく、皆でご無事を祈るしかなかったのです。


Sさんを弟のようにかわいがっていた仲間の一人が、諦めずに本人の携帯に何度かメールを送っていたところ、最近になってやっと御本人からその人に連絡が入ったのです。
都内のリハビリ病院に入院中だという事で、さっそくお仲間数人と一緒にお見舞いに行ってきました。


私たちが病院に着いた時、ちょうどリハビリ中で、ご本人の許可を頂いて、見学させていただく事にしました。


8カ月もお顔を見ていない上、右足のひざから下を失くされたとのこと。
ちょっとドキドキしました。


大きなリハビリ用のベッドの上で、若い療法士さんに上半身をマッサージしてもらっている所でした。
少しやせて、顔も髪も白っぽくなっていましたけど、間違いなく彼です。
痰を取るためとかで、のどに穴をあけているそうですが、マスクをしていても言葉はちゃんと聞き取れるほどはっきりしていて、大きな試練を受けたのに、時折冗談も交えながら私たちを明るく迎えてくれました。


彼は山男で、私たちの仲間10数人でハイキングに行く時は、いつも大きなリュックに2リットルのペットボトル数本と、湯を沸かす道具一式とドリップ式のコーヒー、砂糖、クリームなどを人数分入れて、列のしんがりを歩いてくれ、遅れがちな私たちにもいつも気を配ってくれる優しく、頼もしい方でした。
頂上で彼が入れてくれたコーヒーのおいしかったこと。


仲間の一人が、『何であんないい人が、そんな事故に遭ってしまったのかしら』と言っていましたが、その理由は神様にしか分かりません。
でもこれだけは確かです。
神が人に試練をお与えになるのは、その人を罰するためではありません。
その人にとって大切な事を気づかせるためなのです。
大きな試練は、それを乗り越えられるほどの強い魂の人にしか与えられません。
Sさんは既に自分の試練を受け入れて、今後も豊かに生きるために前向きに頑張っています。
優しい彼の魂は、今度の試練を乗り越えて、強じんさを増したようです。
以前より饒舌になって、
「俺、片足でも、ピョンピョン跳ねて、歌いに行くよ」と、私たちを笑わせてくれます。
「退院したら旅行に行きたいんだよ。まだ行ったことないから、長崎に行って、平和の像の前で、『長崎の鐘』歌いたいんだ」と、夢を語ってくれます。
彼は大丈夫だと私たちは安心しました。


ベッドからはみ出している彼の手にふと目がいきました。
真っ白でふっくらとしていて、指が先に行くほど細くて、まるで子供の手のようです。
とても意外な気がしました。
山が好きで、いつも大きなリュックを背負っていて、夏は登山で日に焼けて、冬はスキーで雪焼けで、年中色が黒くて、いかつい印象でしたから、彼がこんなにも色白だったなんて、まったく思いもよらなかったからです。


私は思わず、「わぁー!Sちゃんて、こんなに色白で可愛い手してたのねぇ。」と言ってしまいました。
隣にいた女性の友人も、「私、負けたわー!」と日焼けした逞しい自分の手を出して、Sさんと比べ、みんなで笑いあいました。


少年の様な手をしたSさんは、きっと少年のような心の持ち主なのでしょう。
感受性の豊かな人なのだと思います。
損得勘定のない、正直で純粋な心の持ち主なのでしょう。
それだけに、この物質的な世を生き辛く感じることもあったかもしれません。


手相を見る時は手の指の形や、手全体の印象も大切です。


例えば手の指の関節、つまり節が目立つ人は、色々な事に対して、自分の考えをしっかり持っている人だと思います。
悪くすると自分の考えを曲げない人、人の意見を聞かない人になるかもしれません。
しかし、関節は曲げるためにあるのですから、そのことを忘れないように。


手全体ががっしりと逞しい人は、現実的で、地に足の着いた働き者。
その上爪が短ければ、更にその傾向が強まります。
手先の器用な人が多いでしょう。
度が過ぎると、視野が狭くなり、現実的なものの考え方しかできず、夢のない人になってしまいます。


と、こんな感じで自分の手をじっと見つめて、それらが語りかけて来るものに耳を傾けて自由に発想してみるのも、自分を発見するのにいいかもしれません。



Sさんは来月初めにのどにあけた穴を閉じる手術をして、義足の訓練をするので、約2ヶ月後に退院する予定だそうです。
まずはのどの手術が成功して、Sさんが元の美声を取り戻せるように、私も毎朝お祈りします。


仲間の突然の災難は衝撃でしたが、彼が大きな試練を乗り越えてくれたことが、本当に嬉しいです。
彼の前向きな姿は、私たち仲間全員を励まし勇気を与えてくれました。


年を取るという事は、身体の機能を一つ一つ失っていくことです。
やがてはほとんどの人が車いすになるのでしょう。
でもどんな時も、Sさんのように「しょうがねえよなあ。」と淡々と受け入れて、まだ残されている身体の機能を大切に、人生を楽しんで生きていこうと思います。
Sさん、勇気をありがとう。これからもよろしく!




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