安寿の小径

北千住のスピリチュアルな占い師 安寿のブログ http://anju.cho88.com/

汝の敵を愛せよ

先日、歌の仲間たちと、奥日光に2泊3日の旅行をしてきました。


男女合わせて20人弱。部屋割りは当日くじ引きで決めました。


みんないい人たちなのですが、一人だけ、前回の旅行で同室になり、迷惑した人がいて、今回は、その人とだけは同室になりたくないと思っていたら、同室になってしまいました。


これは神様のお計らいに違いないと思いました。
私の心に刺さっている小さな棘を抜かなければなりません。
彼女と同室になったことをそのチャンスと受け止め、感情を抑え、できるだけスピリチュアルに接しなければと気持ちを引き締めました。


その女性、Aさんは70歳に近いと思いますが、周囲の人の事を考えない人なのです。
全く悪気はない人なのですが、自分が周囲に迷惑をかけているという自覚がない分、お願いしたり、注意をしても効果がなかったのです。


特に前回みんなのヒンシュクをかったのが、まだみんな眠っている早朝、Aさんがテラスに出て、隣の部屋の窓をたたき、みんなを起こしてしまった事です。


早く起きてホテルの周囲を散歩するのがAさんの楽しみだそうで、4時ごろから顔を洗ったり、着替えたり、布団を畳んだり、部屋の中を動き回り、それだけでも同室の者には迷惑だったのに…。
苦情が出ても、ご本人は、それなりに気を遣っているとおっしゃるのですから困ったものです。
今回は事前に、朝は静かにしてくれるようAさんにお願いしたのですが、やはり心配は的中し、同室の者は彼女に起こされてしまいました。


万事この調子なので、仕方のない事ですが、Aさんは彼女の被害者たちから、だんだん敬遠されてしまいました。
しかし、敬遠されていることにも気づかないのか、誰かれの話に割り込んで、相手にされなくても、動じる様子もありません。


エス様は『汝の敵を愛せよ』とおっしゃいました。
自分の嫌いな人、自分に害をもたらす人を愛するためには、自我を超越し、感情をコントロールしなければなりません。
そこまではまだほど遠い私ですが、少なくとも、その人を憎んだり、恨んだり、復讐心を抱いたり、意地悪したり、反撃したり等など、自分の進歩を妨げるようなことはしてはいけないという事でしょう。


そういう人になりたいとは思いますが、現実の私はエゴの塊、感情にすぐに支配されてしまいます。
いじめようとか、復讐しようとかはさすがに思いませんが、その人に対して、怒りを覚えてしまうのです。


憎しみや怒りに心を支配された状態は、何よりも自分が苦しいのです。
その苦しみから解放されるには、その人を受け入れなければなりません。
その人を裁いてはならず、許さなければなりません。


人をなかなか受け入れられない時、私はいつもこう考えるのです。
自分を害する自然現象に対して、自分は腹を立てるだろうか。
植物や動物だったら、いつまでも腹を立てているだろうか?


台風で家を壊されても、自然現象だから仕方ないとあきらめるでしょう。
ウサギに対して、穴を掘るなと腹を立てても仕方ありません。
そこは台風やウサギの特性をよく研究して、被害を受けないように対処するしかありません。


相手が人間で、こちらの要求に対して応ずることができると思うから、相手に期待し、期待通りに対応しないと、腹が立つのです。


自分の中の『常識』という基準を人に押し付けて、そこから逸脱する相手に腹が立つのです。
人にはそれぞれその人の『常識』という基準があって、それぞれ違うのです。
基準の違う相手に、自分の基準に合わせろというのは、相手から見れば実に傲慢です。


その人はそういう特性を持った人なんだと、その人の基準を認め、受け入れ、その人にこうなってもらいたいという自分の期待は捨てなければなりません。


自分だってなかなか人の期待通りには行動できません。
ならば、相手を期待通りにしようと思うのは間違いです。


確かにAさんは少し変わった人ですが、悪人ではありません。
子供のように自己中心的なだけなのです。


部屋割りのやり方を間違えたのです。
早朝に散歩に行く人はAさんの他にもいたのですから、その人たちを同室にすれば、少なくとも寝不足の人は出なかっただろうと思います。


話に割り込んでくるくらいは許しましょう。
他人のお腹の肉をひょいとつまんで、『あなた、もう少し痩せた方がいいわよ』なんて言った時には、腹を立てず、その行為がいかに失礼で人を傷つけるかを、教えてあげればよいのです。


人はそれぞれ進んだ部分と未熟な部分を持ち合わせています。
進んだ部分を持つ人は、まだ未熟な部分を持つ人を引き上げてあげる義務があるのです。
人はお互いに相補わなければならないからです。
神様は人がお互いにお互いの足りないところを補い合うように私たちを創造されたのですから。


この事を私は知っていたのに、感情に負けて心に棘を生やしていたのです。
本当に申し訳ない事でした。
自分の未熟さに気付かせてくれたAさんに感謝です。


そう考えたら、あまり腹も立たなくなりました。
食事の時には彼女の前にもお茶を置いてやり、自分から話しかけはしないけれど、話しかけられたら、耳を傾ける努力をしました。


おかげで、2日目の朝はしっかり6時まで眠れました。
みんなから注意されたせいで、さすがにAさんも1日目よりは静かだったようです。


Aさんを好きにはなれませんでしたが、嫌ったり、あまり腹を立てることなく、ハイキングやカラオケや温泉など、新緑の奥日光を楽しんでまいりました。



            北千住のスピリチュアルな占い師   安 寿